こんにちは 治癒処の中野です。
今回の症例テーマは“側腹部の胸鎖乳突筋”です。これは2020年9月に報告した “アクマ式腸骨処置” の発展形です。
画像1:外腹斜筋?腸骨稜~季肋部にかけての筋群
画像2:骨格図をひっくり返してみました。
先ずは症例から
Hさん 40代女性 主訴:下肢の浮腫み いつも腰と腹が筋張って硬い。
この方、アクマ式腸骨処置で“う~ん、う~ん”呻きながらもお腹と腰と頸が緩む事で下肢の血行が改善、
浮腫みがかなり治まってきている方です。月2回の来院で下肢の血行改善を毎回処置しますが、
この時期のHさんは花粉症を伴って来院します。
私が“花粉症、どんな按配ですか?”と尋ねると“眼が痒いです。取り出して洗いたいぐらいです。”
と目をシバシバさせながら辛そうに語ります。
先ずは仰向けから…
“この時期はツラいですよね”と言いながら頸を丁寧にチェックすると…アクマ式のお陰で頸の両サイドは緩いのですが、
花粉症予防の決め手となる胸鎖乳突筋がガッチガチです。
“あ~ぁこの硬さじゃ(目の痒みは)しょうがないな”と思いつつ、胸鎖乳突筋と関連している前脛骨筋(足のスネ)を
足先、足首のツボで緩めます。“さあ、どうですか(どうだ)?目の痒みは治まりました?” の問いかけに
“う~ん、まだ(痒みは)ありますね” とのつれない返事。
頸の耳下両サイドから頸の前に向けて触診すると…まだ胸鎖乳突筋に芯の硬さが残ってる感じ。
………
…花粉症処置の臍周りに鍼刺激を加えれば胸鎖乳突筋は緩むんだろうな………でも、それじゃあ面白くない。
どっか別の場所(部位)で頸の張り(胸鎖乳突筋)が取れないかな?………(私の頭ん中の妄想です)
………
アクマ式腸骨処置で乳様突起周辺(耳裏下)の筋が緩むんだから…と、思いながら、何気なく患者さんの
腸骨から臍、肋骨季肋部を触診していくと………僅かに皮膚表面の硬さに違いがあるラインに触れました。
………??
…?
何か?…?何となく違うぞ?!
このラインはコリではありません。何というかノーマル皮膚と比べると皮膚が僅かに緊張してる感じです。通常、コリであれば、そのコリを10秒位マッサージしてから関連する主訴の部位をチェックすると
主訴の部位が緩んだのが分かるので、ここが鍼刺激ポイントだ‼ってなるんですが、
今回はそれが通用しないので、指先の感覚だけを頼りに皮膚違和感ポイントへ5分の中国鍼を5,6本刺入して
いくと、腸骨から肋骨真ん中を結ぶ一本のラインになりました。(参照:画像1)
ここで頸の胸鎖乳突筋をチェックすると…残ってた芯の硬さが取れて頸は正常の柔らかさに近づいてました。
“この皮膚ライン…?凄ぇ!!!”
水を得た魚のように、他にも皮膚違和感ラインを探すと…もう一本ありました。
ここにも5分の中国鍼を5本ほどブチこんでから再度胸鎖乳突筋をチェックします。
Wow,胸鎖乳突筋、ふわふわになってます。“そうだ?花粉の目の痒みを聞かなきゃ。”
“目の痒みはどうですか?”
“先生が最初、お腹に鍼を打ってから(痒みが)無くなりました。2回目のお腹鍼で目のゴロゴロも無くなりました。
今スッキリしてます”との事。
脚の浮腫みも改善して目の痒みも取れたので今日はこれで終了です。お大事にしてください。
考察:この違和感皮膚ライン…面白いです。新たな武器を手にした充実感ある治療でした。この処置のイメージは
“長野式の逆さ腹”に由来します。画像2“骨格図をひっくり返してみました”にあるように
頭蓋骨⇔骨盤、頸椎⇔腰椎、尾骨尖端⇔百会のツボ、と考えると外腹斜筋周辺のラインが胸鎖乳突筋に相応します。
絵空事のようですが、実際、腹斜筋ラインに鍼刺激を加えると胸鎖乳突筋が緩みました。(その他の部位も既に実践済みです)
ヒトの身体はバイクの修理より難しいケド…結果が出ると、ホント面白いです。次回は確かローラー大作戦かな?お楽しみに。