横浜市天王町の整体・鍼灸・マッサージ 治癒処 洪福寺鍼灸療院

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  • 頸の深層筋が原因の五十肩

    2020年03月10日

    こんにちは 治癒処の中野です。

    今回の症例報告は五十肩(患者さん曰く四十肩)です。

    Wさん40代女性:主訴は五十肩。

    この方、もう10年以上定期的に当院へ通っていただいています。

    Wさんは半年前、左肩の前~左肘が重だるく痛いと訴えていました。しかし

    以前からの主訴は右の股関節の開きが悪い。右腰の奥から背中にピキッと痛みが走る。でした。

    複数回(かなりの回数)の鍼治療で腰の違和感はかなり減少、右股関節の開きも改善してきた矢先、

    左肩の痛みと運動制限が強く登場します。

    五十肩ステップ(1)

    腰の左右差を比較すると右に比べて明かに左が硬い。左の背中から肩、頸にかけても硬さが顕著です。

    左右の腰の硬さを均一化するよう月3回の治療ペースで施術し続けました。

    そして腰の硬さは均一化しましたが、左の肘から上腕部の痛みは殆ど変わらず…彼女が云うには

    “左肩の関節がロックされてる様で腕が挙がらない”との事。

    挙上出来ず、結帯動作が出来ない…五十肩です。

    股関節と腰の違和感が落ち着いてきたので私は五十肩の治療に切り換えました。

    先ずは全身の硬さを隈無くチェック。左五十肩に連動する形で左帯脈(脇腹のツボ)と太もも外側

    が右側に比べて若干硬いので、このラインを鍼治療で3回かけて緩めました。

    私の感覚では太もも外側、臀筋、腰、背中、肩周り、頸と左右差がほぼ均一。しかし左五十肩には全く効果なし。

    Wさんの日常生活は不便なままです。

    なぜ????why????почему????

    五十肩ステップ(2)

    迷宮に迷い込み自信喪失した私なのに…Wさんは10日に1回の割合で、私を信じて治療を受けに来てくれます。

    この期間は約2ヶ月。割とeasyに治せると思った五十肩治療で迷走極めてしまった私は肩以外の細かな

    Wさんの違和感を処置していきます。

    頭皮の硬さ。足首の硬さ。膝周りのむくみ。花粉症関連の部位。などです。

    五十肩が主訴なのに…一見無駄に思えるこれらの施術もなんと⁉︎なんと?実は左五十肩に関連していたのです。

    私の…五十肩に対する、いつもの処置を施す固定観念、先入観がWさんの五十肩治療を妨害していたのです。

    Wさんの頭皮に鍼刺激→頭部と頸部が緩みます。足首の硬さ→お腹の緊張が解消して前頸部(胸郭出口)が

    緩みます。膝周りにむくみ→鼠径部が緩んで肩の前方(上腕二頭筋)が緩むます。花粉症関連部位(ヘソ周り)

    →頸咽頭部が緩みます。

    これらの処置によりWさんの頸周りが更に緩んでフワフワになると、Wさんの運動制限のあった左肩内の

    ロックが緩みました。当然腕は今までよりも挙上しやすいです。Wさんも効果を感じてくれています。
    緩んだ頸の側面から前面にかけて更に詳しく触診していく私。

    “…ん!?、なんだこれ?”

    頸の深層筋(たぶん頭板状筋)に物凄く硬い筋肉を触知しました。頸の筋肉は表層に僧帽筋(ステップ(1)で緩めた筋)

    ⇒僧帽筋の下層には頸板状筋(ステップ(2)で緩めた筋)⇒頸板状筋の下層には頭板状筋

    (頸板状筋が緩んだ事で触知出来た筋 ステップ(3))

    もしかして…コイツかぁ~!

    ステップ(3)

    頭板状筋の左右差を丁寧に確認すると左>右と顕著な硬さを確認出来ました。今回からコイツ
    (Wさんの左五十肩の原因であろう頭板状筋)をターゲットに治療を施します。

    (1)胸郭出口を緩める為に“足の八風ツボ”と“趾間ツボ”と“脚の気ツボ”+臍周り(navelツボ)

    (2)頭部の硬く浮腫んだような部位を10箇所くらい。

    (3)鼠径部を緩める為に“膝ёжикツボ”と“足伍里”と“大腿大転子ツボ”

    これらのツボに鍼刺激を行い、Wさんの左頸を丁寧に触診すると

    “おぉ?来た、来た、来たぁー。”

    頭板状筋が明らかに緩んできました。

    Wさんに左腕をいろんな角度で動かしてみて。と言うと、彼女は痛みにビビりながら恐る恐る腕を動かして確認します。

    “なんか?今までと違う、ロックが外れたみたい。”と嬉しそうに報告してくれました。

    コイツが根源だったのか!

    そうと分かれば私の治療は水を得た魚です。1週おきに来院してくれるWさんの肩が少しずつ可動範囲を広げていきます。

    頭板状筋治療を開始して現在5回目。結帯動作はまだ不自由ですが、腕の挙上は8割方回復。

    腕の捻りもおおよそ改善。本人曰く頭板状筋治療で右腕の可動が100点満点として左腕の可動域は0点⇒70点との事。

    左肘の痛みも無理矢理捻れば痛みを感じるが日常生活では殆ど問題ない。

    Wさんの五十肩治療はまだまだ続きますが、確実に回復に向かっています。

    今回の症例報告は反省点だらけです。自分が確立してった治療法が全てに適応すると思い込んでたのが大失敗です。

    普段、患者さんから先生などと呼ばれて、自分の技術と経験に自信持ち過ぎていたのが大きな反省点です。

    自分のスキルアップの為に欠かせないのは患者さんであり、やはり患者さんこそ我々術者の先生でした。

    もっと謙虚にならなければ…。Wさん、スキルアップさせて頂き本当にありがとうございました。

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