こんにちは 治癒処の中野です。今回は山際先生と合同で難聴治療にあたりました。
Eさん、40代後半 女性 PC事務仕事。
主訴:右耳の難聴(一カ月前より耳の中が籠った感じになり1日中シャリシャリ音がして右側で会話を拾えないとの事) 他に便秘が酷い、腸捻転で開腹手術痕あり。
私の治療経験から“週2回ペースで1か月治療すると難聴の症状変化が出てきます。そこからもう一月位かかりますよ。頑張って通えますか?”との問いかけに“宜しくお願いします”との回答を頂きました。
初診:山際先生
右耳の下から右頸、頸回り全体、肩周部と開腹手術のキズ周辺がとにかく硬いので、それらを緩める施術をしたようです。仙骨部の刺激で頸回り、腹のキズ処置で腰のスジを緩めた。
2回目 前回より3日後に来院 山際先生 中野
本日耳鼻科で聴力検査後に来院。聴力は特に変化無し。
前回の処置で分界後線(後頭部と首の境目)が緩んで深部がチェックできるようになっている。頸椎の一番上の骨(環椎)周辺(特に右)に血液が滞ったでっかいコリを触れるようになっている(邪骨)。コイツが難聴と関連してそうなんで、この邪骨を緩める処置。そして腹のキズは横向きで鍼刺激するよう指示。
3回目 前回より4日後に来院 山際先生。
天候が雨のせいか?耳鳴りに加えて眩暈もある。聴力は変わらず籠った感じ。前回同様の処置。頸の邪骨がさらに緩む。
4回目 前回より3日後に来院 風邪気味。気管支炎のよう。前回同様の処置、お腹の鍼が効いてきたのか腸が動く感じ。治療途中でトイレに行く。かなりの便通があった模様。耳の閉塞感は酷いらしいが首回りの邪骨は明らかに小さくなっている。
5回目 前回より6日後に来院 中野が担当。
治療前に耳の状態を聞くと“籠った感じのシャリシャリ音”が“グワングワン”になっている。本日聴力テストで聴力少しアップしてるとの事。山際先生のカルテを参考にしながら同様の処置に加えて、うつ伏せで仙骨をチェックすると、その下の尾骨周辺が黒ずんでいる。まるで褥瘡のように見えました。明らかな血行障害なんで、この茶けた血行不良部位にしっかり鍼刺激を加えると頸肩(特に右邪骨)が面白いように緩みました。治療後、難聴は少し解消し耳鳴りのグワングワン6割減って残り4割。
6回目 前回より5日後に来院 中野が担当。
耳の聞こえはだいぶ良い。聴力テストはだいぶ良好な結果だったようで嬉しそうです。褥瘡に見えた尾骨の茶けた部位は色がかなり薄くなっていました。前回同様の処置を施すと耳の聞こえ具合左耳が10点満点だとすると右耳は8点ぐらいだと云う。
7回目 前回より7日後に来院 山際先生
耳の具合は自己評価で左10に対し右7の聞こえ具合。
山際先生が私のカルテをなぞって前回同様の処置を施術。
Eさん曰く左右殆ど変わりなく聞こえるとの事。難聴はほぼ完治。月一のメンテナンス治療を奨めて終了です。
考察:この症例を診て…一カ月以内にほぼ完治できたのは頸の邪骨を効率よく緩められたことにあると思います。通常の難聴患者さんは太溪(腎)復溜(腎)曲池(大腸)あたりにコブのようなコリを持っている方が多いのですが、Eさんにこの状態は見られませんでした。これは彼女が発症してから一カ月位で鍼治療に来られたことが大きな要因と思います。
以前80代の女性患者さんを治療したときは上記したツボに大きなコブ持ちの為、完治まで週2ペースで約3カ月かかりました。
内耳の機能障害が認められずに難聴になる場合は通常、耳鳴りから始まり、ほっとらかしにしておくと耳鳴りがどんどん大きくなり、その音量のせいで会話が聞こえなくなります。
私は難聴患者さんを7,8例治療したことがありますが1名を除いて殆どの患者さんは鍼治療で改善、治癒にまで持っていけています。※1名は両耳とも耳鳴りが酷過ぎて筆談による治療を余儀なくされました。当然患者さんの細かいニュアンスや状態が伝わり切らずに患者さんが治療を諦めてしまいました。
宣伝になってしまいますが、この症例報告を読んで頂いている方で、もし耳鳴りを感じている方は是非ご相談ください。早めが一番です。